📖 「カバンの中の未来 – AIが荷造りする時代」

近未来SF微小説

2028年。旅行の準備にかかる時間はゼロ秒になった——はずだった。
最新の 「スマートパッキングロボット(PackMate)」 が、あなたの旅行先や天気、予定を元に、最適な荷物を自動で詰めてくれる。

「すごいでしょ? もうカバンの準備で悩まなくていいんですよ!」
誇らしげに語るのは、PackMateの開発者であり、旅行マニアの 三浦翔太(みうら・しょうた)。
対するは、旅行代理店で働くリアリストの 田中美咲(たなか・みさき)。


「ほら、美咲さん、試してみてください!」

美咲は半信半疑でアプリを起動し、**「2泊3日 京都出張」**と入力。
PackMateはカバンの前でウィーンと音を立て、次々に服を詰め始めた。

  • 気温をチェック → 「京都は20度、薄手のジャケットを選択」
  • スケジュールを分析 → 「会食あり、フォーマルな服を追加」
  • AI学習 → 「過去のデータから、あなたは必ずスニーカーを忘れるので追加」

「おぉ…すごいじゃない…?」
美咲が驚いていると、PackMateが突然止まった。

「——エラー:スーツケースの容量オーバー

「は?」
美咲がカバンを開けると、なぜかパジャマが3着も入っている

「ちょっと! これ、ちゃんと学習できてるの!?」

翔太は苦笑いを浮かべた。
「ええっと…学習データによると、前回の出張で ‘パジャマがないと落ち着かない’ ってレビューしてましたよね?」

「いや、そんなにいらないってば!」


数日後、美咲がPackMateを使ったお客様からクレームが入る。

「このロボット、間違った荷物を詰めて大変だったんです!」
「えっ!? どんなミスを?」

  • 出張なのに水着が入っていた(理由:「沖縄旅行のデータを学習済み」)
  • 靴下が1足しかなかった(理由:「ミニマリストモードがONになっていた」)
  • 歯ブラシが2本入っていた(理由:「前回 ‘予備があると安心’ と入力」)

「やっぱりね!ロボットなんかに任せられないのよ!」
美咲は怒るが、翔太は冷静に言った。

「ロボットは完璧じゃない。でも、人間の ‘癖’ を理解するのは得意なんですよ。」


翔太はPackMateのカスタマイズ機能を強化した。

  • 「確認モード」 を追加 → 荷造り完了前に「これは本当に必要ですか?」とユーザーに尋ねる。
  • 「直前修正モード」 → 荷造り後、最も不要そうなアイテムをリスト化し、削除を提案。
  • 「友達モード」 → 旅行相手のパッキングリストと共有し、重複を防ぐ。

結果、PackMateの満足度は大幅に向上し、美咲も再び試すことに。

「京都2泊3日、確認モードON、と…」
PackMateはウィーンと動き、再び完璧な荷造りを終えた。

「——パジャマ1着、追加しますか?」

美咲は思わず吹き出した。
「……いや、今回は1着で大丈夫よ!」

翔太も笑いながらうなずいた。
「これが ‘ロボットと人間の協力’ ってやつですね!」

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